三線トリビア
風のように弾く
- 2008-01-15 (火)
- 三線考
~基本的な考え~
私の店に「三線を始めたいのですが、何から買った方がいいでしょうか?」と同時に「最初は安物でスタートして、上手くなってから高価な物にステップアップしたいのですが・・・」と、多数のお客様が口々に言います。
私は、この質問にしばし戸惑います。
何故なら、私の場合、三線を弾けば弾く程ステップダウン(笑)しているからなんですね。
勿論、最初は見てくれのみ(重要)で、いわゆる高価な三線を使用していたのですが、今は、人工三線で満足しています。
う~ん、こう書くと人工三線を売りたがっているみたいなので、私の事を一人のプレーヤーの話として聞いて下さい。
私は若い頃、ギターを弾く仕事をしていました。(こう書くとかっこいいですが、何てことない所謂「ハコバン」って奴です)
まずお客様に“いい音”で聴いて貰う為、ミキサーの方とか、ミュージシャンの意見を交えながら音を作っていきます。(マイクの位置やアンプの向きetc・・)
その音が決まってくると、次に演奏している私達がストレスなく演奏出来るかをチェックしていきます。
この時、様々な問題が出て来ますが、「お客様にいい音を飛ばす」(ハコバンの場合)が第一義なので、ステージ側がやりにくくても、ここでは多少我慢します。
こうやって時間をかけて、皆が出来るだけ納得する音作りをします。
客が沢山入ると音抜けが悪くなったり、前の方は音が混じり合って訳が分からないのに、後ろの方は気持ち良く聴けていたりと、現場で様々な事を学んでいきす。
そんなある日の事。
その日はとても客が多く、私自身も最高の演奏が出来たと満足していました。
そして次の日。
昨日あれ程良かった音が全然良くありません。
全くテンションも上がりません。
私は、ミキサーを担当していた方に怒りました。
「ちょっと音おかしいよ!こっちは昨日のセッティングでやっているのに」と言うと、ミキサーの方は黙ってメモを差し出しました。
それを見てみると、何と!ツマミの位置からマイクの位置、演奏曲、果ては客の数まで詳細に書かれていました。
私は、大変ショックを受けました。全てが昨日と同じセッティングだったんです。
違うのは客の数だけ・・・。
私は勝手に昨日の演奏が最高だったと思い込みをしていただけなんです。
この経験が、今の私の基本的な考えになっています。
~ブラインドテスト~
三線に関しても、本当に高価な物は、プレイアビリティーも高く音もいいのだろうか?
自分の考えを整理したく、コレを使ってブラインドテストをしました。
![]()
用意した三線は82丁です。(高価なもの、安い物、年代物、様々です)
同じKey、同じフレーズ、出来るだけ同じタッチ、出来るだけ同じアタック箇所。
それらを録音し、一週間程して聴き返しました。
結論としては、「全く分からなかった」になりました。
勿論、音が違うのは分かります。(厳密に同じ音はありません)
少なくとも、私にはどれが高価な音で、どれが安物の音なのか?とは、分かりませんでした。音に優劣を付けられません。
所謂、“いい音”には様々なファクターが存在するんです。
弾き手が変われば、音もまた変わります。
(以前、私の三線を津波 恒徳さんが弾いた事があるのですが、出てくる音があまりにも素晴らしくとても感動した経験があります。やっぱり、手元なんですよねー。)
ですので、三線のお話をする時も、「真壁」や「知念大工」等、造形美の話をするのもやぶさかではありませんが、その作りの話をするのであれば、様々な形の天(ヘッド)が音にどういう影響を与えているか?といった話の方が私は好きです。
例えば、皮の張りが弱かったりすると音抜けが悪くなります。
そうなると、音量を得る為、右手のタッチが強くなる傾向にあります。
タッチが強いと音が潰れ気味で、サステイン(音の伸び)も損なわれます。
軽く弾いて「スコーン」と抜けるのがいいですよね。
しかし、音抜けばかりを重要視し、あまりに強く張ると、今度は音の立ち上がりがシャープ過ぎる為、もう少しローを感じたいからもう少し弱めに張る・・・といった会話の方が具体性があって、私には向いています。
でも、ここで大事にしないといけないのは、本当に聴覚で判断出来ているか?どうかだと思います。
楽器の進歩、深化、変化はプレーヤーに端を発します。
メーカーではありません。
~「楽器」を買うという事~
では、初めて三線を買う方はどうすれば良いか?
私なりの意見としては、「中間点で買うな」という事です。
本から得た知識、ネットで調べた知識、友人の知識、先生の知識、音色やの知識・・・これらはあくまでも他人の実感なんです。
これらの中間を取った買い方ではなく、あなたご自身が決めるんです。
これが最初の実感になります。理屈ではないので、お客様が、ピン!ときたら良いと思いますよ。
~音色や的 保障~
当店では、ずっとサポートして行くと約束している為、お店が潰れるまで(笑)保証致します。
送料はお客様負担となりますが、工賃や部品代はずっと無料です。
細かい規約は作りません。お客様もお店選びは慎重になるとは思いますが、私だって恐いんですよ(笑)。
いい出逢いになるといいなーって思ってます。
楽器をやる事は、詰まるところ、そういう事です。
~心根~
私が思っている事なんですが、三線は全く圧迫感を感じません。
ピアノやギターはちょっとだけ強制的(聴け~、みたいな)な感じがするのに対し、三線は風の様に聴こえます。
てぃん とぅん てん・・・。
練習している音色が最高にいいんです。
風の様に弾きましょう。
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