三線トリビア
てぃんさぐぬ花は、明るいか暗いか
- 2010-03-22 (月)
- てぃんさぐぬ花は、明るいか暗いか
菊池成孔さんが、著書の中で ほんの少し沖縄音楽に触れているんですが、これが大変興味深いので抜粋しました。
是非 読んでみて下さい。
沖縄音楽は(ドミファソシド)はっきりと調3度が出てきますから、メジャー マイナーで区分すれば、これは はっきりとメジャーなんですけど、じゃあ果たして、沖縄の音楽は、ほとんど全部 このレとラが抜けたドミファソシドって音列で出来てて、長3度の3があるんだから、沖縄で鳴らされている音楽は全て明るいか(笑)というと、そんなことは決してないですね。
沖縄の音楽の中にも当然悲しい、場合によっては葬儀の為の音楽もありますし、嘆き悲しむようなエレジーだとかバラードだとか、そういうものに近い悲しみの音楽だってあるはずです。
しかし、それも長3度が含まれた音列の中で表現されるんですね。
よく言われる事ですけど、例えば「バカ」って言った時に 悪意を込めて「バカ」って言うのと、愛情込めて「バカ」って言うのとは全然ニュアンスが違うと。
同じ「バカ」でも、心の込め方ひとつだろうと。
えー、そりゃ言い方だろう?っていう事よくありますよね(笑)。
まぁ、それと同じで弾き方だろ?って事が音楽の中で起こるんです(笑)。
マイナーだって、陽気に弾けばね、そのつもりじゃなくても明るく聞こえますし、
メジャーだって悲しみを込めて弾けば悲しくなるわけです。
こういう曖昧さに、否定の感情が生まれても仕方がない。
平均律は、その結実でしょうね。
~ 憂鬱と官能を教えた学校 より抜粋 ~
私にも経験あるんですが、この人が歌う「てぃんさぐぬ花」は泣けるなーとか、また、別の方が歌う「てぃんさぐぬ花」は力強いなとか、もしくは、この人のは嫌だな(笑)とか。
これは、メロディーだけではなくて、リズムも要因の一つだとは思うんですが、三線は、ピアノが表現できない事、平均律の世界とは違ったところに我々は惹かれているんだと思うんです。
ひとりひとりがそれぞれの解釈で、俺はメソメソしたのは嫌だから陽気な「てぃんさぐ」を、私は泣ける「てぃんさぐ」をとか、それぞれのアプローチでいいと思うんです。
そうなってくると、ライフスタイルのレベルでどんどん変化していき、あれっ?5年前は陽気だったのに最近は泣き泣きだな とか、(私生活で何があったかは知りませんが(笑))大袈裟に言えば、たった1曲でも一生のテーマになったりしても不思議はないですよね。
こうなってくると、誰かの「てぃんさぐ」を聴くだけでも、何だか伝わってくるような、言葉を交わさなくても、分かりあえるような感覚にだってなれると思うんです。
その為に必要な事は、自分の解釈で歌う、演奏するという事です。
自分なりの解釈は、人との距離を示す事になります。
その距離感の提示は、人と人をつないでゆく事になります。
10名が10名とも同じ解釈で歌い、演奏すれば、同じ人を増やすには役立ちますが、広がりや膨らみといったものを制限してしまうかもしれません。
自分なりの「てぃんさぐぬ花」をご自分の解釈で、自分にしか出来ない表現で、歌ってみてはどうでしょうか。
元々そうだと思うんです。
だから誰かに音を飛ばしてるんだと思います。
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肉体が先か精神が先か
- 2010-03-20 (土)
- 肉体が先か精神が先か
メールの問い合わせで、よく「5万円くらいで黒檀ありますか?」とか「いい黒檀を探してるんですけど」 「やっぱり三線は、黒檀が一番いいんでしょうか?」といった内容のメールが来ますので、ちょっと私の考え方というか、私が感じている事を書きますね。
私の極めて個人的な意見からすると、黒檀はあまり好きではありません。
これは哲学的な話ではなく、私の「実感」から来ている事なんですが、現在38歳の私は、中学校の頃からギターをやっていて、その過程で様々なギターを買っては売ってを繰り返してきました。
思い出す限りだと、黒檀、紫檀(インディアン、ハカランダ)メイプル(ハード、バーズアイ)等々。
他にも色々あったと思いますが、年をとると思いだせませんね(笑)。
で、いつ頃からかは思い出せませんが、ある時期から指板に黒檀を使用しているギターを買わなくなるんです。
ネットはまだ普及してなかったので、知識は全くなく(要するに、先入観が全くない状態で)「何かこれ(黒檀)好きじゃないな」というのが、自分の中でどんどん膨れ上がった様な感じです。
自分の演奏力は棚に上げて(笑)。
私にとっては硬すぎる感じで、何て言うか、木の質感をあまり感じられないというか・・・。
プラスチックとまでは言いませんが、「木に触れている」という実感が乏しいんです、少なくとも私にとっては。
当時の印象としては、レスポンスが速く、音の立ち上がりがシャープという感じです。
「じゃあ、最高じゃないか」という方も沢山おられると思いますが、私にとっては、シャープ過ぎる気がしましたし、カチカチしている感覚で、当時、私が使用しいたギターをカチカチギター(笑)とネーミングしてました。
ただ、これはあくまでも、そういう気がするだけですし、黒檀の指板が好きな方はいっぱいいます。
ただこの事は、三線店を始めてからも私の中でどんどん大きくなっていった感じです。
三線店を始めた当初、周りの方があまりにも黒檀は最高だと言うので、私も「三線には合っているんだろうな」と思い、自分のメインになる三線は黒檀をチョイスして使用していました。
しかし、弾けば弾く程、合ってないような(笑)気がしてきたんです。
三線は構造上、木鳴りというよりは胴鳴りといった感じなんですが、ギター弾いてきた自分にとっては やはり木が鳴っているという感覚が欲しくなるんですね。
弦が振動し、木がその振動を覚え、弦振動が乾燥を促進し、やがて木が鳴るような、楽器全体の震えが私の体にまで伝わるような感覚です。
黒檀の三線を使用していた時は、メッチャ太い弦を張って、テンションをキツめにしたら鳴りを感じるのかな?なんて、そんな事を考えたりしてました。
そんなある日の事、一丁の三線が修理で持ち込まれました。
だいぶ古い三線で、お客様曰く「安い三線なんだけど、昔から家にある大事な三線」との事。
実際そうでした。棹はねじれて、黒檀のような重厚さとは程遠い三線。
カラクイの折れの修理だったので、すぐ直して ちんだみをしようと音を出すと、ビーン!と私の体にまで伝わる振動。
たよりなさげな三線から放たれる音は、ビックリする程 力強く驚かされました。
この三線が「鳴る」のには、長い間弾き続けてきた事と、それに伴う木の強烈な乾燥があると思います。
それに比べると、木のちょっとしたねじれは大した事ありません。
(ピアノのような西洋音階、デジタルサウンドと三線は全く違うので、多少のねじれは音さえ出ればあまり問題ではありません。ギター等ですと問題ですが)
私があまりにも笑いながらこの三線を弾いていると、お客様が「この三線大丈夫ですか?」と聞いてきたので「最高ですよ」とお答えしました。
その後、私の黒檀の三線をお客様に弾いてもらうと「うわぁ 重い」と言いながら、ニコリともせず、ちょっと弾いて「高そうな三線ですねぇ」と私に返しました。
実に痛快な話です。
私はこの時、沖縄の先人達は、何て素晴らしい音楽文化を残してくれたんだろうと、感謝せずにはいられなかったです。
お金をかけずに心を豊かにする事は、難し事ではないんですよね、きっと。
誤解しないで頂きたいんですが、黒檀が好きな方はいっぱいいますし、それぞれが黒檀の良さを知っています。
ただ、私はそうじゃないという事です。
何故わざわざこういう事を書くかというと、ただ単にこれから三線を始める方、購入なさる方にとって有益だと思うんです。
三線を売っている本人が、三線の中で最高(?)と言われている黒檀をあまり好いてない事実は(笑)。
現在、ネットの普及で欲しい情報がすぐ手に入ります。
誰でもすぐに知識人にはなれるんです。
私は趣味でジャズをやるんですが、セッション等に行くと、豊富な知識、音楽理論、哲学、美学を披露する方と出会ったりする事があります。
私はビビります。
こんなに音楽を知っている方と演奏してついていけるのかな?と不安になります。
で、実際に音を出したりするとショボかったりするんです(私はいつもショボイ)。
やっぱり頭でいくら完璧に理解したとしても、肉体が付いてくるのはだいぶ時間がかかると思うんです。
勉強すれば(ネットを開けば)理論、理屈は分かりますが、肉体はそのだいぶ後。
今、皆さんは情報の真っ只中にいて、三線を初めて購入しようとする方でも、黒檀は最高と思っている方が多いんですね。
黒檀の三線を持てば間違いないというか、いい音が出るという刷り込みがあると思うんです。
肉体を伴わない知識のやり取りは やがて、哲学が哲学を、知識が知識を語り、私のようなアホには何が本質か分からなくなり、迷路に迷い込む度に徒労に終わるという繰り返しがあると思うんです。
で、結局三線を買わないとか(笑)。
まぁ、見送るケースも多いと思います。
では、三線を購入する際、どうすれば良いのか?
それは、電話をかける事です。
とても勇気のいる事ですが、メールではなくて、直接電話をすると、それで大体の事が解ります。
私は昔から楽器を買う時は、直接電話をして色々話をさせて貰って、購入を決めてました。
店側の嫌な対応もありましたけど、ラッキーな事もありました。
結局、最終的な決め手は、店とのフィーリングだと思うんです。
三線を買う時も、ご自分に合った店を選ぶというのが最大のポイントで、その為には、例え面倒臭くても勇気を出して電話をするのが一番いい方法です。
些細な事でも、電話をかけて店の対応が良ければ気持ちいいですよね?
ネットを見て、3~5店候補を絞って電話をかける。
大変ですがこれがベストです。
電話をかけ、会話をしていくうちに「やっぱり黒檀だよな」と思う事もあるでしょうし、「安い物でも大丈夫だな」と思う事もあると思います。
答えはきっと電話をかけるご自身が持っている事が多いのでフィーリングがピタッと合えば大丈夫ですね。
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Q&A
- 2009-05-19 (火)
- Q&A
普段、お客様から様々な質問を受けます。
三線を始める方に有益な情報になるかと思い、Q&Aにして掲載してみました。
これは、あくまでも私個人の見解なので、参考程度(暇潰しに)お読み下さい。
なお、プライバシー保護の為、質問者のお名前は控えさせて頂きます。
Q:崎山さんこんにちは。
今、三線の勉強を始めました。
漢字の工工四は西洋のドレミとは全然違いますね。工工四を覚えるだけで大変です。
初心者にお勧めの曲はありますでしょうか?教えて下さい。(男)
A:こんにちは、音色やの崎山です。
私の経験ですが、最初から工工四で始めるのはとても難しいと思います。
まず最初にやるべき事は、チューニングですね。
チューニング(ちんだみ)から始めて、チューニングが出来ましたら、知っている曲のメロディーの一部分でもいいですから指と耳で音を探しながら弾いていきます。
これはとても効果のある練習です。
「チューニングと知っているメロディーを少しでも弾く」この2点だけでもとても良い練習になります。
お勧めの曲は、Aさんのとても好きな曲が良いと思います。
大好きな曲だとメロディーが頭に入っていますよね?
その頭の中にあるメロディーを一つずつ三線で鳴らしていけばいいんですよ。
「チューニングとメロディー」この2点だけで、とても音楽的で意味のある練習になります。
その後で工工四を少しずつ覚えていけば良いと思いますよ。
文章を書く事とはちょっと違って「楽器を奏でる」事は、そこに肉体的な気持ち良さ(もちろん精神も)があります。
その為には、大変だと思いますが、一日5分でいいので、毎日練習する(三線に触れるだけでいいです)と上達が早いですよ。
分からない点がありましたら、どんな事でもいいので連絡して下さいね。 では、練習頑張って下さい。
Q:他の三線サイトを閲覧すると「初心者にはCDやDVDがあった方が良い」という記載があり、セット内容に含まれております。
私は三線初心者なのですが、三重県に住んでおりまして、独学で三線を練習する事になります。
仮に音色やで三線セットを購入する場合、CD等も同時に購入した方が良いのでしょうか?
ご回答お待ちしております。(男性)
A:お問い合わせについてですが、曲を知っていれば、CDは要らないと思いますが、CDを流しながら一緒に弾く事は効果があります。
全く曲を知らなければ、CDは必要だと思います。
三線は、曲を知っていてチューニングさえ合っていれば絶対に弾ける楽器です。
半年後、一年後、効果的に上手くなる秘訣は、道具をあまり増やさない事だと思います。
ただ、自身のモチベーションが上がっていくのであればどんどん道具を増やしても良いかもしれませんね。
三線とチューナーで大丈夫な人もいますし、三線、チューナー、本、CD、etc・・・でもまだ不安という人もいます。
「必要だ!」と心から思った時、実感した時に道具は増やした方が良いと思います。
後日、嬉しい返信メールがありました。
「以前、質問させて頂いた者です。
色々考えましたが、音色やのセットで頑張る事にしました。
また質問する事もあると思いますが、宜しくお願い致します。」
音色やのセットで頑張るの文章にジーンときました。頑張って下さい。
Q:実際、物を見て納得出来なかった場合、返品は可能ですか?
例えば「見た感じ、もっと高い感じの物がいいなぁ」とか 安いと見た目など、その辺が気になるのですが? (女性)
A:商品を受け取って、一週間以内でしたら返品大丈夫ですよ。
当店の商品が安いのは、メーカー直売ですので、ダイレクトにお客様にお出しする事が出来ます。
その分、お安くお出ししています。
三線の値段は、有って無い様な物なので、実際に見て手に取って気に入らなければ遠慮なく返品して下さい。
私もよく楽器を買うのでお客様の心配は良く分かります。
返品する側も気持ち良く返品したいですしね。
Q:先日、三線を購入したんですが、三線の音合わせが上手く出来ず悩んでいます・・・。
購入したチューニング機器で音を合わせたいのですが、男弦→Cで、中弦→F で合わせられたのですが、女弦だけがどのスペルに合わせたらいいのかが分からないのですが、教えて頂けますでしょうか?(女性)
A:今晩は、音色やの崎山です。
御質問についてですが、女弦の方は、男弦と同じ1オクターブ上のCになります。
表示も同じCで表示されます。
三線のチューニングは文章で伝えるのがとても難しいんですね。
何故かと言うと、どれだけのテンション(張り具合)、どれだけ音を上げればいいのか?といった問題です。
簡単に言えば、男弦と女弦が同じ音になればいい訳ですから、男弦のチューニングが出来ている段階で、男弦を鳴らしながら女弦を合わせればいいと思います。
やり方としては、男弦を鳴らして、女弦を緩くしている状態から徐々に上げてゆくやり方です。
チューニングは、三線で一番難しい事だと思います。(地味ですしね)
A様が現段階で男弦と中弦を合わせられるという事は、大変素晴らしい事なので頑張って下さいね。
これからも遠慮なくどんどんメールして下さいね。これからも宜しくお願いします。
後日、嬉しい返信メールがありました。
「有難うございます。三線弾けるかドキドキですが、頑張って覚えます!
男弦と女弦を合わせればいいんですね。
チューニングが一番難しいとお聞きしてホッとしました。
チューニングからつまずいていたので本当に弾けるかどうか焦っていたので・・・。
中々仕事で練習出来ませんが、少しでも時間を作って頑張ります!
また、分からなかったらメールします、教えて下さいね。」
仕事で忙しい中 大変だと思いますが、三線が弾けるという事は新しい言語を獲得するという事なので、世界が広がると思います。
毎日コツコツやれば、絶対に弾けますので頑張って下さいね。応援してます!
Q:年末に三線を購入した者です。
三線を持っている事で親しくなった沖縄料理屋さんで、披露すべく頑張って練習してます。
お忙しい所すみません、ちんだみを教えて頂きたいのですが・・・。
合わせても合わせても弾いているうちに音が下がってしまいます。
特に女弦・・・。
合わせているとカラクイが緩んで最後までまわっちゃったりで・・・。
でも押し込むと動かなくて・・・(女弦)。
馴染めば改善されるものなのでしょうか?(女性)
A:御質問についてですが、三線の場合、ギター等とは違い、木と木で止めているので、どうしても限界があります。
やり方としては、ネジを廻す様に押し込んで「この辺かな?」という所でキュッと差し込むのですが、最初は力加減が分からないと思いますが、慣れてくると力の入れ具合も分かって来て楽に出来る様になってくると思います。
注意点としては、キュッと差し込んだ時点で、音があっておらず直ぐに動かす場合は、ゆっくりと動かして下さい。
普段私達が音合わせをする場合は、目的の音に合わせカラクイを廻していきますが、目的の音に達するまでカラクイを力強く差し込んだまま廻したりはしません。
(この力加減を文章にするのが難しいのですが・・・)
目的の音に近付いた時キュッと強く差し込みます。
上手くいかない場合は、遠慮せずどんどんメールして下さい。
では、頑張って下さいね。
後日、嬉しい返信メールがありました。
「丁寧なアドバイス有難うございます。慣れってコトですよね(^^; 今、ギター(エレキ)の感覚のまま弾いちゃってるんで色んな観念捨てて頑張ります!」
沖縄料理屋さんで披露されるとの事ですが、人前で演奏する事が一番の練習でもありますし、上達にもなるので緊張されると思いますが頑張って演奏して下さい!
Q:沖縄に住んでいた頃、強化張り用の布だけが貼ってある、練習用の三線を買って、独学で有る程度の曲なら弾けるようになりました。
沖縄を離れて、三線に対する思いが募る一方なので、一歩進んだ三線を購入したいと思っています。
今の所、手頃な値段の強化張りで良いかなぁと、思っているのですが、音は、やはり本張りの方が断然良いのでしょうか?(女性)
A:本音を書きますが、「本張だと音が良い」という事は全くありません。
上手なプレーヤー程、道具を選びません。
どれを弾いてもその三線が持っている「音色」を引き出す事が出来るんですね。
分かりやすく言えば、カンカラ三線を持つと、カンカラ三線ならではの切々とした曲を弾いたり、また強いタッチで弾くのではなく聴こえるか聴こえないかぐらいの小さな音で弾いたりするんですね。
その小さな音に優しく歌声を乗せると、風の様に聴こえるんですよ、本当に!
安いカンカラを使用しても上手い人は聴いている人の涙まで誘うんですよ。
私自身、何度かそういった方々の演奏を体験しているので、三線は値段で優劣が決まるのではなく、弾き手の心を(オーバーに言えば、聴いてきた音楽、生き方、etc・・・)ダイレクトにそして赤裸々に音になって表れるプリミティブ(原始的)な楽器だと私は認識しています。
三線は、洗練された楽器ではなく、素朴な楽器だと思います。
ですので、お客様の「一歩進んだ三線」との問いには、私は答える資質を持ち合わせてないかもしれません。
ただ、相対的な話は出来ます。
今、お持ちになっている三線より大きな音の三線がいいとか、逆に小さめの音がいいとの内容だと大丈夫です。
いい音色は、三線が最初から出す音ではなくて、プレイヤーさんが、試行錯誤して獲得するものだと思います。
(ピアノやギター等の平均律に対応する楽器とは違います。
現に私がギターを教えていた方は、私と散々話した結果、40万円を軽くオーバーした楽器を買いました。
でも、私の師匠は2~3万の楽器を使用しています。(笑)
あっ!平均律の楽器もやっぱり関係ないかなぁ?
いやぁでもピアノは全然違う気がするしなぁ・・・。)
三線を上達する事、辞めない事が一番大事なので、モチベーションが上がるのであればどんどんお金をかけても良いかもしれませんね。
(ライブに行ったり、CDを買ったり、それこそ高い三線を買ったり、形から入るのもまた重要なんですよね。)
三線を選ぶ(買う)ポイントは、人の意見や、店の意見を無視しましょう。(身も蓋もない 笑)
自分が良いと思ったら、それでいいと思いますよ。
後、直接お店に電話するのが絶対いい方法ですよ。 それで、大体の事が分かると思います。勿論、当店にもお気軽に電話連絡して下さい。
Q:三線をこれから購入したいと思っていますが、どのくらいの金額の物がいいでしょうか?
人工の皮とそうでない物とでは、音色に違いはありますか?
先月、沖縄へ旅行に行って、初めて三線教室に入って弾いただけの初心者です。宜しくお願いします。(女性)
A:今晩は、音色やの崎山です。
問い合わせについてですが、人工皮と本皮で音の違いはあります。
もう少し詳しく言うと、同じ人工でも音は違いますし、本皮もそうですね。
ただ、耳で聴いて「あっ!これは人工の音だ」とか「本皮の音だ」と聴き分けるのは不可能です。
少なくとも私はそうです。
それと同時に「あっ!10万円の音だ」や「1万円の音だ」も分かりませんよね。
私の経験から言うと、私自身100万円の三線を弾いた事もありますが、何の感動もありませんでしたよ。(笑)
結論から言うと、安い商品で大丈夫です。
三線は元々、西洋音楽(楽器)とは違う歩みで現在に残っている楽器です。
分かりやすく言うと(分かりにくい?)アフリカに行って太鼓を買う様な感じです。
「どれがいい音か分からないけど、現地の人が叩くと どれもいい音がする。」・・・そんな感じです。
原始的な楽器は、演奏者が上手ければ上手い程鳴ります。
ピアノやギターを買うのとは違うんですね。
あまりお金をかけずに心を豊かにする(友達が増える、上手になる…)が、沖縄三線の魅力だと思います。
三線を購入する際の優先順位をちょっと書いてみますね。
①本体 ②チューナー ③モチベーションを保つもの(何でもいいです) ④本、DVD ⑤バチ、ケース etc・・・、という感じです。
全部揃えたらモチベーションが上がるんでしたら全部揃えた方がいいと思います。
これは、人工皮と本皮をどちらか選ぶ時も同様です。
見た目で買っちゃいます。その方が、触れる機会も増えるので、自分の直感を信じた方が良いですよ。
以上で分からない点や他に御質問がありましたらお気軽にご連絡下さい。
後日、嬉しい返信メールがありました。
「早速のご回答有難うございました。とても良く分かりました。
また今年も沖縄へ参りますので、その時に購入したいと思います。
その時は、宜しくお願いします。」
種をまいて、いつか三線を買う という気持ちをずっと心に持つ事は、とても素晴らしく楽しい事だと思います。
私も今 欲しい楽器がありまして、きっと私と同じ気持ちなんじゃないかなーと勝手に想像しちゃいました。
Q:今晩は、先日 三線セットを購入した者です。
全くの初心者で、分からない事だらけなので2~3質問があります。
1.ウマが2種類ありましたが、違いを教えて下さい。
2.チューナーは三線専用でないとダメでしょうか?吹奏楽で使用した物があるのですが、使う事は出来ますか?
A:こんにちは、音色やの崎山です。この度はお買い上げ頂き有難うございます。
ご質問についてですが、
1.音の立ち上がりが早いのが牛骨で、竹の方は、牛骨に比べ若干シャープさに欠けます。
(とは言っても、しいて言えばという感じです)
2.クロマチックチューナーでしたら何の問題もないですよ。
私自身三線専用のチューナーを使用した事はありません。
どこにでも有る様な、ギター用の安物のチューナーを使っていますよ。
以上の内容で分からない点や他にご質問等ございましたら、何時でもお気軽に御連絡下さい。
Q:あくまでも参考で、教えて頂きたいのですが・・・。
実は、女弦を弾いた後、高めの「尺」を弾こうとして指を動かすと、振動している女弦に接触してしまう事があります。
接触すると、当然ながら雑音の様な感じになってしまいます。
(接触する箇所は、人差し指の付け根の箇所です)
で、実は、音色やさんで買った三線では上記の現象が殆ど起きません。
別の所で買った三線で発生するのです。
(なので、音色やさんに聞く質問では無いかもしれませんが)
左手ポジションに問題があるのか(移動時に指を手前に寄せ過ぎてる?)
三線に問題があるのか・・・
その三線を音色やさんのと比較してみると、
・若干 棹が細め
・歌口がちょっと高い?気がする
こういった事って、何かご存知では無いでしょうか?
宜しくお願い致します。
A:こんにちは、音色やの崎山です。
ご質問についてですが、弦高が高いのが原因と思われますが、弦楽器の宿命というか、余分な音をカットする為に、右手、左手を使ってミュートする事が大切になってきます。
私の場合は、ほぼ左手のみでミュートしますが、どちらを使っても大丈夫です。
やり方としては、押弦している指以外で 弾かない弦に軽く触れ、不要な音をカットします。
最初は大変ですが、直ぐに慣れて自然と出来る様になってきます。
これを意識していくと、移動時や弾いている最中の余分な音は出にくくなると思います。
一度やってみて下さいね。
後日、嬉しい返信メールがありました。
「崎山様 今晩は。
アドバイス有難うございます。
まず「ミュート」なる言葉が初耳でしたので色々勉強になります。
出来るかどうかは分かりませんが、チャレンジしてみたいと思います。」
こういった質問をされる方は確実に三線が上手な方、もしくは上達していくタイプです。本に載ってない事を、楽器を弾いて「実感」するが、上達の一番の近道であり、正しい方向だと私は思います。このまま頑張って下さいね。いずれ、私が質問するかと思います。(笑)
弦楽器を弾くという事
例えばあなたが、誰かの前で習ったばかりの三線で、誰もが知っているメロディーのほんの2~3個の音符を弾いたとします。
その時あなたの目の前の人が、ニコッと微笑んだり 喜んだりするとあなたは、もう2~3個のメロディーを探し始めると思います。
この時、本の内容だったり・持ち方・バチの角度なんてどうでもいいんです。
あなたは目の前の人の喜んだ姿を見て、この先弾いた事のないメロディーに挑戦するんです。
ただただメロディーに飢え欲するだけ。
そこで少しだけ時間がかかったとしても、あなたが獲得したメロディーは最高なんです。
こういった状況こそが、飛躍的に楽器が上達していく瞬間です。
皆さんがこれから三線を始めるという事は、新しい言語、新しい表現方法を身につけ獲得するという事です。
チューナーを使ってチューニング(ちんだみ)をし、聴こえてきたメロディーを追いかけます。
ただこれだけです。
これが一番上達する方法です。
どんなに歳を重ねていても耳は使えば使う程良くなっていきます。
耳をどんどん活用すれば、他に何も要りません。やり方は、「死ぬほど何回も聴く(笑)」いや、本当にこれしかないんですよ。
最初はとても時間がかかったとしても、慣れてくるとどんどん速くなっていきます。
私は三線を買おうとしている方に、「一年後も弾いてますよね?」と聞きます。
するとお客様は100%「弾きます」とか「そう願いたい(笑)」と言います。
この時私は、上記の「使える耳にする」方が良いとお話しています。
逆に言えば、道具を最小限に抑え「耳を使わないといけない状態」こそが、半年後、一年後飛躍的に伸びる事に繋がっていきますとお伝えしています。
ただ中には、一ヶ月後の結婚式や発表会で弾かないといけないといった方もいますから、その時は、シールや本、DVD等をお勧めする事になります。
その時でも耳の重要性はお話しています。
私が何故こんなにもクドク耳の話をするかと言えば、「先があるから」なんですよね。
私自身の経験で恐縮ですが、曲を聴いて感動し、自身で弾きたくなり、地味に練習しある程度弾けるようになってくると、人前でちょっとずつ弾きたくなり、反応がイマイチでへこんだり、またその逆で褒められたりしていき、その過程で様々な人と出会います。
この「出会い」こそが「音楽」と同義であると私は思っています。 この出会いの時、様々な楽器を持っている方とコミュニケーション(勿論、楽器を使っての)を図るケースが出てきます。この時こそ、耳力が活躍するんです。理屈は要りません。
ピアノの人が何かを弾き、三線を持っている私も反応して何かを弾きます。
私の弾いた三線の音が、ピアノの音にクラッシュせずに溶け込みます。
クラッシュしたとしても、普段から耳を使っていれば、5分後、10分後やればやる程、どんどんスムーズになってきます。
様々な方と出会い、言葉を使わなくても楽器を通して解り合える事があるんです。
私の大好きな言葉があります。
ミュージシャンの山岸 潤史さんが言っていた言葉です。
「ええ音出してる人と、友達なりたいやんか」
私もそんな感じで様々な方達とお友達になりたいと思っているんですよ。
私のインタビューが掲載されているので、興味のある方は読んでみて下さいね。
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風のように弾く
- 2008-01-15 (火)
- 三線考
~基本的な考え~
私の店に「三線を始めたいのですが、何から買った方がいいでしょうか?」と同時に「最初は安物でスタートして、上手くなってから高価な物にステップアップしたいのですが・・・」と、多数のお客様が口々に言います。
私は、この質問にしばし戸惑います。
何故なら、私の場合、三線を弾けば弾く程ステップダウン(笑)しているからなんですね。
勿論、最初は見てくれのみ(重要)で、いわゆる高価な三線を使用していたのですが、今は、人工三線で満足しています。
う~ん、こう書くと人工三線を売りたがっているみたいなので、私の事を一人のプレーヤーの話として聞いて下さい。
私は若い頃、ギターを弾く仕事をしていました。(こう書くとかっこいいですが、何てことない所謂「ハコバン」って奴です)
まずお客様に“いい音”で聴いて貰う為、ミキサーの方とか、ミュージシャンの意見を交えながら音を作っていきます。(マイクの位置やアンプの向きetc・・)
その音が決まってくると、次に演奏している私達がストレスなく演奏出来るかをチェックしていきます。
この時、様々な問題が出て来ますが、「お客様にいい音を飛ばす」(ハコバンの場合)が第一義なので、ステージ側がやりにくくても、ここでは多少我慢します。
こうやって時間をかけて、皆が出来るだけ納得する音作りをします。
客が沢山入ると音抜けが悪くなったり、前の方は音が混じり合って訳が分からないのに、後ろの方は気持ち良く聴けていたりと、現場で様々な事を学んでいきす。
そんなある日の事。
その日はとても客が多く、私自身も最高の演奏が出来たと満足していました。
そして次の日。
昨日あれ程良かった音が全然良くありません。
全くテンションも上がりません。
私は、ミキサーを担当していた方に怒りました。
「ちょっと音おかしいよ!こっちは昨日のセッティングでやっているのに」と言うと、ミキサーの方は黙ってメモを差し出しました。
それを見てみると、何と!ツマミの位置からマイクの位置、演奏曲、果ては客の数まで詳細に書かれていました。
私は、大変ショックを受けました。全てが昨日と同じセッティングだったんです。
違うのは客の数だけ・・・。
私は勝手に昨日の演奏が最高だったと思い込みをしていただけなんです。
この経験が、今の私の基本的な考えになっています。
~ブラインドテスト~
三線に関しても、本当に高価な物は、プレイアビリティーも高く音もいいのだろうか?
自分の考えを整理したく、コレを使ってブラインドテストをしました。
![]()
用意した三線は82丁です。(高価なもの、安い物、年代物、様々です)
同じKey、同じフレーズ、出来るだけ同じタッチ、出来るだけ同じアタック箇所。
それらを録音し、一週間程して聴き返しました。
結論としては、「全く分からなかった」になりました。
勿論、音が違うのは分かります。(厳密に同じ音はありません)
少なくとも、私にはどれが高価な音で、どれが安物の音なのか?とは、分かりませんでした。音に優劣を付けられません。
所謂、“いい音”には様々なファクターが存在するんです。
弾き手が変われば、音もまた変わります。
(以前、私の三線を津波 恒徳さんが弾いた事があるのですが、出てくる音があまりにも素晴らしくとても感動した経験があります。やっぱり、手元なんですよねー。)
ですので、三線のお話をする時も、「真壁」や「知念大工」等、造形美の話をするのもやぶさかではありませんが、その作りの話をするのであれば、様々な形の天(ヘッド)が音にどういう影響を与えているか?といった話の方が私は好きです。
例えば、皮の張りが弱かったりすると音抜けが悪くなります。
そうなると、音量を得る為、右手のタッチが強くなる傾向にあります。
タッチが強いと音が潰れ気味で、サステイン(音の伸び)も損なわれます。
軽く弾いて「スコーン」と抜けるのがいいですよね。
しかし、音抜けばかりを重要視し、あまりに強く張ると、今度は音の立ち上がりがシャープ過ぎる為、もう少しローを感じたいからもう少し弱めに張る・・・といった会話の方が具体性があって、私には向いています。
でも、ここで大事にしないといけないのは、本当に聴覚で判断出来ているか?どうかだと思います。
楽器の進歩、深化、変化はプレーヤーに端を発します。
メーカーではありません。
~「楽器」を買うという事~
では、初めて三線を買う方はどうすれば良いか?
私なりの意見としては、「中間点で買うな」という事です。
本から得た知識、ネットで調べた知識、友人の知識、先生の知識、音色やの知識・・・これらはあくまでも他人の実感なんです。
これらの中間を取った買い方ではなく、あなたご自身が決めるんです。
これが最初の実感になります。理屈ではないので、お客様が、ピン!ときたら良いと思いますよ。
~音色や的 保障~
当店では、ずっとサポートして行くと約束している為、お店が潰れるまで(笑)保証致します。
送料はお客様負担となりますが、工賃や部品代はずっと無料です。
細かい規約は作りません。お客様もお店選びは慎重になるとは思いますが、私だって恐いんですよ(笑)。
いい出逢いになるといいなーって思ってます。
楽器をやる事は、詰まるところ、そういう事です。
~心根~
私が思っている事なんですが、三線は全く圧迫感を感じません。
ピアノやギターはちょっとだけ強制的(聴け~、みたいな)な感じがするのに対し、三線は風の様に聴こえます。
てぃん とぅん てん・・・。
練習している音色が最高にいいんです。
風の様に弾きましょう。
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